先日Firefoxがバージョンアップして、Firefox 5になった。
自分の環境でも早速アップデートしてすでに使っているんだけど、これと同時に記事になっている今後のFirefoxのバージョン更新の方針が一部でかなり評判が悪い。
開発中のFirefoxの各バージョンは、6週間ごとに次の段階のチャンネルに移り、最終的に「正式版」として公開されるため、6週間ごとに次のバージョンのFirefoxが公開されていくスケジュールとなっている。
Firefox 5からFirefox 6までは例外的に8週間の間隔となり、今後は「Firefox 6」が8月16日に、「Firefox 7」が9月27日にといった形で、開発上の問題やセキュリティ面での問題が無い限りは、6週間おきに新バージョンのFirefoxが公開されていく。
Firefoxといえば以下の「Firefox 3の灯」に代表されるように、バージョンアップ自体を一種の「イベント」として扱っていて、その頻度もかなり低かった。(ただこの方法はMSのIEなんかでも使われていて、そこまで珍しいわけでもない。)
これはバージョンアップの機能追加を大々的にアピールして注目を集める手段としていたのと同時に、Firefoxのキモのひとつであるアドオン機能を考慮しての戦略だったのかもしれない。基本的にFirefoxのアドオンは作者が対応させない限り、新しいFirefoxでは使えない仕様になっている。だから「バージョンアップしたいけど、アドオンの対応が……」という反応は、Firefoxユーザの中では定番になっていた。
要するにFirefoxは「メジャーバージョンアップをお祭りとして使いたいMozilla」と「アドオンが使えなくなると困るので、なるべくバージョンアップ避けたいユーザ」という構図から頻繁なバージョンアップは避けられていて、これはある意味両者の利害が一致していたように思えていた。しかしMozillaは今後その方針を一気に変えて、バージョンアップを「お祭り」どころか「6週間ごとにおこなう単なる区切り」ぐらいの扱いに変えたようだ。
今後のアドオンの扱いとバージョンアップ
これから1ヶ月半(6週間)でメジャーバージョンが上がるブラウザになったFirefoxのアドオンの扱いがどうなるかというと、今までの「古いアドオンは"対応してない"という前提で扱う」から「古いアドオンでも"対応している"という前提で扱う」に変わるらしい。また、マイナーバージョンアップ以外では必要だった手動での更新も、今後は必要なくなるようだ。
リリースサイクルの変更に伴い、Firefox 5以降では新バージョンへのアップデートも自動更新で行われる。ユーザーの設定により自動更新を無効にすることもできるが、セキュリティ面からは推奨されていない。
また、Firefoxのアドオンについても、これまではアドオンの作者が新バージョンへの対応を完了するのを待つ必要があったが、Firefox 5以降では旧バージョンに対応していたアドオンは、基本的に新バージョンでも対応しているものとして扱われる。
この更新速度では大量に存在するアドオンの作者に対応させるのは難しいだろうから、この方針で行く限りは妥当だとは思う。ただバージョンの無視は互換性チェックOFFのアドオンのインストールでもできたので、その手間がなくなっただけともいえる。また、バージョンチェックを無視しようと動かないものは動かないので、今後は古いアドオンはより使いにくくなるかもしれない。
FirefoxもGoogle Chromeと同じく「バージョン数値の意味がないブラウザ」へ
FirefoxのライバルブラウザのひとつであるGoogle Chromeは、登場したのは2008年末にも関わらず2011年6月末現在でバージョン 12.0まで来ている。バージョンアップは完全に全自動かつ強制的におこなわれるため、ほぼ100%のユーザが最新版を使っている。結果としてユーザは今使ってるのがどのバージョンか意識する必要はまったくないし、セキュリティに不安のある古いバージョンを使い続けることもほとんどない。バージョンが上がるたびに大騒ぎしているIEやFirefoxとは、別世界という感じすら受ける。
個人的にはChromeの手法の方がスマートだと思うし、好み。面倒な作業はない方がいいに決まってるし、「使ってさえいれば最新版」というのは特にPCに疎い人には最適だろう。そもそも「わかっている人」は自由に設定を変えられるんだから、デフォルト設定が「わかってない人」向けになるのは理にかなっているんじゃなかろうか。
今回のFirefoxの方針転換はChromeの後追いのように見えるし、特にバージョンごとにチェックしなきゃならない人にとっては「面倒くせえ!死ね!!」となるのもわかる。でも個人的には動かなくなったアドオンもなかったし、バージョンアップが日常になれば数字を気にすることもなくなるので、特に不満は感じずメリットの方が大きいかなと感じた。もちろん手放せないアドオンが動かなくなったら、と考えるとそこまで手放しでは喜べないんだけれども。
この記事へのコメント
コメント機能を利用するにはログインする必要があります。「Disqus」または「Twitter」「Google」「Facebook」などのアカウントが使用できます。