Blogに載せる広告、というとアフィリエイトを除いて真っ先に思い浮かぶのはGoogle Adsenseでしょう。このBlogでも相当前から利用していますし、Blog以外でも新聞社のサイトなど様々なところで利用されています。クリック単位で報酬が発生するため、物品の購入やサービス開始を伴わないと利益が出ないアフィリエイトと比べ、いわゆる「普通のブロガー」でも比較的利益が得やすいサービスです。
とはいえ、場合によってはAdsense以外の選択肢が欲しくなることもあるはずです。単純にAdsenseの審査に通らないということもあり得ますし、このBlogのように「Adsense以外のコンテンツマッチ広告を試してみたい」という場合もあるでしょう。今回のテーマであるTrend Matchは「コンテンツマッチ広告」「クリック単位で報酬が発生する」という点で、Adsenseとほぼ同じ特性を備えています。
このエントリでは少し前から利用し始めた、この「Adsense以外の選択肢」のTrend Matchはどうなの?という話をしてみようかと思います。
意外と種類があるPPC広告
クリック課金型*1の広告、いわゆるPPC広告(Pay Per Click)はイントロダクションで取り上げたAdsenseを含め、結構な種類があります。日本で使える比較的有名なものは主に以下のサービスが挙げられると思います。 1 : 広告主から見て「課金」なので、ブロガーから見れば「クリック保証型」と呼んだ方が正しい。
2 : 正確にはPPV(Pay Per View)、つまり表示されるだけで報酬が発生するタイプとの併用。
きちんと調べると他にもあるのですが、「ほとんど見かけることがない」「広告の中身が上記のどれかとまったく同じ*3」ということがほとんどなので除外しました。実は今回の主題は「広告の中身」なので、システムが違うとか会社が違うというのはあまり関係ないのです。 3 : 広告を共用しているということ。
Trend Matchを知ったわけ
私が最初にこのサービス……というか運営している会社を知ったのは、以下のエントリからでした。
エントリを読んでいて一番気になったのはこの部分。
弊社特徴としては、掲載可否基準が厳しい事が挙げられます。 例えば、新聞社さんのフィードに対して出稿しようと思うと結構きつい基準にしなければなりません。 それにあわせています。 現状では、個人の方は出稿できないという仕組みになっています。
(中略)
現状では、広告の数は少ないのですが、変なのは出ません。これからも質に関しては厳しさを保ちたいと思っています。
Google Adsenseは利用者数も多く、PPC広告としてはデファクトスタンダードの地位にあります。出稿される広告も多いですし、確かに内容にマッチした広告が出やすいのは間違いないと思います。報酬も一般的には他のPPC広告サービスよりも比較的高いといわれているようです。
ただ問題がないか?といえばそんなことはなくて、どう見ても怪しい・いかがわしい広告が相当多いんですね。「全自動で1日10万円の収入」とか「初心者の私でも死ぬほど簡単に稼げたんです」などに代表される、いわゆる情報商材というやつです。また、別の広告を踏ませるためだけの広告MFAやゲーム系のサイトだとRMTなども目立ちます。要するに、「広告の質が高いか?」といえばお世辞にもそうではないということです。
情報商材、嫌いです。
別にこう考えているのは私だけじゃなくて、実際にブログ界隈でも何度か話題になっています。
しかし、時折いわゆる情報商材系の怪しげな広告が表示されます。 「月額100万円儲かります」とか「素人でも即お金儲け」系の奴です。 「神秘の力で水か綺麗に」系の広告が表示された事もあります。
サイトターゲット広告で指定された場合が一番悲惨です。かなり大きく「努力しなくても100万円」系の広告が掲載されてしまいます。これは非常に目立ちます。
アドセンスが情報商材の広告に汚染されているのは、儲かる系のキーワードだけではありません。かなりのキーワードが、汚染されつつあります。
あまり儲かる話と関係ないようなサイトにも情報商材の広告が表示されているのを、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
実際に私は自分のBlogで「アフィリエイト」とか「儲かる」という話題を出すことはほとんどないのですが、それでもぼちぼち見かけます。元々そういう話題を扱ってるところでこのようなタイプの広告が出るならまだしも、まったく関係ないところで出てくるんですから「どうなってるのよ?」といいたくなってしまいます。
そういったわけで、このRSS広告社の「怪しい広告は出さない」「個人からの出稿は受け付けない」というのがかなり気にかかったわけです。ただ、この時点ではまだ「利用してみようか」とは考えませんでした。利用されているサイトやBlogをほとんど見る機会がなく、実際にどうなのかが全然わからなかった*4からです。 4 : 以前BlogのRSSフィードに「広告のみのフィード」を大量に配信してひんしゅくをかったのは知っていたものの、自分が読んでいるBlogには関係がなかったので他人ごとだった。
目立たないけど「あの人」が使ってた
私が「試してみるか」と考えるようになったのは、今更説明するまでもないあの小飼弾氏の404 Blog Not Found でこのRSS広告社のTrend Matchを使用していたからでした。トップページでも個別エントリでもいいので、右サイドバーを見ながら画面を下にスクロールしてみてください。サイドバーの下部で「Ads by rssad.jp」と表示される広告が見つけられるはず*5です。 5 : 2008年10月現在。
404 Blog Not FoundでいつからTrend Matchが使用されていたのかは知らないのですが、少なくとも私が気がついたのはつい最近でした。場所的にどう考えても「目立つ」ところに設置されていないのを見れば、儲けが云々というより「とりあえず置いてある」と考えた方がいいのかもしれません。何年も前にAdsenseが破棄されたというエントリが投稿されていますが、その時も広告料は大して惜しくないのだが
と書いていますから。
404 Blog Not Found:AdSense破棄キター
で、実際に「Ads by rssad.jp」の広告を見てみると、確かに変な広告は表示されません。少なくとも「貼り付けてこれ以上変な広告が増える」ということはなさそうだと感じました。IT・Web関係にしては少し「?」と思うような広告が出ることがあるものの、ある程度のコンテンツマッチ精度があるのも間違いなさそうです。
Adsense以外の選択肢
別にTrend Matchに限らず、Adsense以外のPPC広告のサービスはいくつも存在します。3年前ならいざ知らず、現在では「Adsense以外」を見ることもそんなに珍しくありません。特にYahoo!の子会社オーバーチュア の広告は大手新聞社のサイトなどでいくらでも見る機会がありますし、個人サイト、ブロガーが使えるものとしてもエントリの最初の方で書いたような選択肢があります。
しかし、それらのPPC広告サービスの肝心な広告の中身はといえば、これもお世辞にも質がいいとはいえません。当然のごとく(特に儲かる系の)情報商材が表示されています。更に問題が深刻なのは、元々の広告主が少なすぎるのか前出の「怪しい広告」が表示される上に、コンテンツにまったくマッチしていない下品な広告まで頻繁に表示されてしまうのです。
こないだの小越くんもそうだけど、MicroAdを貼ってるブログを見ると、包茎だの、キャッシングだの、ワキガだのの広告が出てくる。とても。頻繁に。ていうかそれ以外を見たことないくらい。
ちがうから。たぶんちがうから。
(中略)
もうひとつはこういう広告が出てると、そのブログの品位が問われるというか、その人の評価を下げることに繋がると思う。
これは広告とわかって読んでるぼくでさえ、やっぱり印象悪くなった
下記の広告は昨夜、とあるブログで出ていたものですが、どちらも同じグループで、台打ち詐欺とかで、名前もあちこちのサイトに出ていたりする団体です。
しかし、いまだにこのような広告を出しているわけですから、楽天に事業譲渡されても、広告管理はずさんなままですね。
Adsenseは元々の広告主が多いため、多少怪しい広告があってもコンテンツマッチにより他の「まともな」広告が表示されることが多いのでしょう。結果として問題になりにくい部分があるのだと思います。変な言い方かもしれませんが、一種の「中和」みたいなものかもしれません。
ところが、他のPPC広告は多分広告主が潤沢ではないのが原因で、「怪しい(情報商材)」「コンテンツにマッチしない」「下品」という二重苦、三重苦状態になっているということです。実際に私も他のサイトを訪れてPPC広告を見る機会は何度もありますが、この認識は多分間違っていないだろうと考えています。
広告サービスとしての使い勝手
現状エントリの上下に設置してあるため、見たことがある人も多いでしょうが、改めて設置したものを見せると以下のような感じです。
コンテンツマッチさせる対象としてはRSSフィードを使うものとHTMLを解析するものがあり、Blogなら両方を使うことができます。調べてみるとやはりRSSフィードを使った方が精度が高いらしく、このBlogでもそちらを使っています。ただ、RSSが部分配信だったり主な内容が追記部分*5だったりすると、やはり精度は落ちるものと思われます。 5 : このBlogも長文エントリは追記部分がメインになっているため、精度としては完璧ではないはず。
ちなみにBlogではなくRSSフィード自体に広告を載せる「for Feed」という広告タイプもあるのですが、私はこちらを使う気はまったくないのでよくわかりません。挙動だけ見た限りは本文の下に横幅が広めの広告が入るような仕組みになっているようですが、フィードを登録するようなITリテラシの高い読者が広告をクリックするかといえばかなり怪しい気がします。
Google Adsenseと比べて
Adsenseを基準に考えると、主に以下のような違いがあります。
- 縦幅、横幅に任意の値を設定できる。
- 画像広告はない。*6
- 丸角のデザインなどは存在しない。
- 同じ広告でも多重に表示されてしまう。*7
- 支払額が5000円。(Adsenseは100ドル)
- 広告主の数はずっと少ない。
6 : for Feedには存在する。 7 : AdsenseはGoogle自体の画像(動画)広告を除き、ユニットを複数設置しても広告が被ることは少ない。
その他詳しいことは以下のページを参照してみてください。かなり詳細な情報が掲載されています。報酬についても書かれていますが、「今でも大差はないかな」という印象です。
ASP私見(5) (Trend Match編) - AdSense Trick
ちょっと嬉しいところ
通常、PPC広告は表示するべき広告がなかったり、マッチした広告が見つからないと「自社広告」を表示する*8ようになっています。要はサービス利用者(ブロガー)や広告主を募集するような広告です。 8 : もしくは公共広告。GoogleやYahoo!は設定していればこっちが表示されることが多い。
これはAdsenseでもありますが、特に他のPPC広告サービスで目立ちます。この手の広告はクリックされても報酬がないか、もしくは極めて低いと相場が決まっていて、広告を掲載する側としては全然嬉しくないものです。
ところが、Trend Matchには自分がチェックした限り自社広告が表示されているのを見たことがありません。MicroAdなどは本当によく自社広告が表示されているのですが、Trend Matchの場合は自社広告を出すぐらいなら表示しないというスタンスなのかもしれません。確かに広めのスペースに一つの広告しか表示されない場合もあって寂しいともいえますが、報酬がない広告ぐらいなら出ない方が良いという考え方も当然ありでしょう。
「変な広告が出ない」というのは十分売りになる
PPC広告は現状「Adsenseかそれ以外か」という状態といっても差し支えないと思います。Yahoo!のブランド力もあってアドパートナーは今後もっと勢力を伸ばしていくかもしれませんが、Adsenseに比べ圧倒的に優位な点があるとも思えず、見ていても「広告の種類は多くないな」と感じることも少なくありません。要するに「どれを選んでも大差がない」というような状態でしょう。
Adsense以外を選ばざるをえない、もしくはAdsenseにプラスして何かを設置したいと考えるならば、私はTrend Matchは悪くない選択肢だと思えます。元々大差がないならば、コンテンツにまったく関係がない情報商材やコンプレックス産業の広告が出ないというだけでも相当なメリットです。
もちろんそういうものに抵抗感がない人もいるでしょうが、少なくとも私はサイトと同時に表示される広告が「変なもの」ではない方が望ましいのではないかと思っています。広告自体は別にコンテンツではありませんが、「イメージに影響を与える」のは否定できませんからね。
自分のBlogに変な広告ばかりが表示されてうんざりしている方は、利用してみて損はないのではないでしょうか。
おまけ - Adsenseと別のコンテンツマッチ広告の併用は問題ないのか?
以前どこかで「Adsenseと別のコンテンツマッチ広告は併用できない」という話を読んだことがあり、私自身も前まで勝手にそう信じていました。Trend Matchもコンテンツマッチタイプであり、それが事実なら同時に設置することはできません。
ところが、実際に有名BlogなどでもAdsenseとそれ以外のコンテンツマッチ広告を併用しているところがあり、「本当にそうなのだろうか?」という疑問を持つようになりました。有名Blogはそれだけで目立ちますから、問題があるなら真っ先に警告が来るのではないかと考えたからです。
例えば「駄目だ」という情報では以下のようなQ&A情報がまだ残っています。
コンテキスト ターゲットである Google 広告をサイトで利用した場合、その他のコンテキスト ターゲット広告も全て Google 広告とみなされ管理されます。
(中略)
Google 広告を利用する場合、その他のあらゆるコンテキスト ターゲット広告を利用することはできません。
この情報が確かならば、確かに併用はできないように思えます。
しかしこの情報はもう3年も前の話で、リンク先のポリシーは実はすでに記述が変更されています。
競合する広告とサービス
ユーザーの混乱を回避するため、Google の広告または検索ボックスと同じレイアウトや色を使用している広告やサービスが表示されるウェブサイトでは、Google の広告または検索ボックスを表示できません。 サイトで広告を直接販売している場合でも、お客様の責任のもとでこれらの広告が Google 広告と混同されることのないよう注意してください。
コンテキストターゲット広告どうのという記述は完全に消されて、これらの広告が Google 広告と混同されることのないよう注意してください
というものに変更されています。文章のとおりに内容を理解するならば、「Adsenseと同じレイアウトや配色になっていない広告なら問題はない」という意味になるでしょう。実際に併用されているところもよく見るところから考えて、別に問題はないということですね。
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