RSSリーダーはとても便利です。RSSフィードに記事の全文を載せているサイトはRSSリーダーで内容がチェックできますし、部分配信でも更新した記事のタイトルと時間はわかります。巡回先が増えてくると、ブラウザのブックマークだけではとても追い切れません。
しかし、残念なことに未だにRSSフィードを配信していないサイトは多数あります。また個人サイトの場合、Blogサービスではなく普通のWebスペース(ホームページ)サービスを使っていて、RSSフィードを配信したくてもできない(*1)こともあるでしょう。部分配信のRSSフィードでもあるのとないのでは大違いです。
([*1]Blogに引っ越したいがURLが変わるので引っ越せないなど。)
そういうときに役に立つのが、サイトのHTMLを自動で解析してRSSフィードを作り出してくれる「RSSフィード自動生成サービス」です。これを使えばRSSフィードを配信していないサイトでも、RSSリーダーでチェックすることができます。また、サイト運営者が利用すれば、Blogサービスに移行しなくても(*2)RSSフィードを訪問者に提供することができます。
([*2]当然URLも変わらない。)
今回はそんな「RSSフィード自動生成サービス」の使い勝手と機能をまとめてみました。
はじめに
今回比較するRSSフィード自動生成サービスは以下の3つです。
他にもまだあるかもしれませんが、とりあえず今回は有名なものを選びました。
Page2RSS以外はサービスが終了・停止してます。2011年現在の最新情報は以下のページへ。
My RSS
- 名称
- My RSS
- 登録
- 必要 (メールアドレスのみ)
- 言語
- 日本語
- 出力フィード形式
- RSS 1.0
概要
あわせて読みたいやフィードメーターなどのサービスを提供しているサイドフィードが運営しているサービスです。使用するにはユーザ登録が必要で、メールアドレスとパスワードを設定するとアカウントが発行されます。アカウントを作らずに使用することはできません。
機能
サイトのURLを登録すると自動で巡回を開始し、差分に含まれたリンクを抽出してRSSフィードとして配信します。更新されてもリンクがない限りフィードは作られませんし、リンクの前後に文字があってもそれは配信されません。ページ自体をRSSフィードで配信するという仕組みではなく、文中のリンクテキストを抜き出してRSSフィードにするというサービスですね。
RSSは1リンクが1フィードに変換されます。(*1)登録可能件数は最大10件ですが、「クーポン」を使えば増やせるとのこと。
([*1]更新時に10個のリンクが追加された場合、10フィードが配信される。)
例として公式にRSSフィードを配信していないAKIBA PC Hotline!をMy RSSに登録した場合、以下のような形になりました。
その他にはメールによる配信機能があります。
登録されたサイトの最終更新テキストの一部、および前回メール送信時以降に新しく追加されたニュースとリンク先URLをテキストメール形式で送信しています。実際に登録してお試しください。
My RSS - メール配信詳細説明
メールの内容もフィードとして配信されるものとの同じで、リンクテキストとURLが並んだものが1通のメールとして届きます。メールの送信スケジュールは5つまで設定できるので、場合によってはRSSフィードを受信しなくてもメールを受け取るだけで事足りるかもしれません。
評価
- 長所
- リンクテキストのみ抽出されるため、テキストカウンターなどに反応しない
- メールでも受信できる
- RSSフィード変換の質のムラが少ない(*2)
- 短所
- リンク以外の情報はRSSリーダーで取得できない
- ユーザ登録しないと使えない
- デフォルト状態では10ページしか登録できない
- 1リンクが1フィードに変換されるため、ページによっては大量のフィードが発生する
([*2]後述のサービスは上手く変換できたりできなかったりと、かなり質にムラがある。)
機能面から考えると、コメントがないニュースサイトのような、リンクされるテキストがメインのページやサイトを登録するのに向いているでしょう。逆に更新されてもリンクテキストが存在しないページは、いくら待ってもフィードは配信されません。仕組みとしてはかなりシンプルですね。
対象がリンクテキストだけなので、登録するサイトによって極端に向き不向きが分かれる結果になると思われます。リンクさえ取得できればいい、と割り切れば使い勝手はいいかもしれません。
Page2RSS
Page2RSS - Create an RSS feed for any web page
- 名称
- Page2RSS
- 登録
- 不要
- 言語
- 英語
- 出力フィード形式
- RSS 2.0 | Atom 1.0
概要
My RSSと違い海外のWebサービスです。説明自体は英語ですが、ページの作りが簡単なので迷うところはないでしょう。使い方はトップページのフォームに、RSSフィードへ変換したいページのURLを入れるだけです。登録作業などは必要ありません。
機能
ページを登録すると更新チェックが始まり、更新されると差分がRSSに変換されます。My RSSとの違いは更新された差分がすべてRSSフィードに変換されることです。リンクテキストだけではなく、正常に変換されれば内容すべてを読むことができます。RSSフィードの全文配信と同じ効果がありますね。
登録直後は(英語で)「更新をモニタしています」というフィードしか配信されていませんが、登録後に更新されると更新部分がRSSフィードとして配信され始めます。逆にいえば、更新されない限りいつまでも新規フィードは出力されません。正常に動くか試したい場合は、何か更新が頻繁なページを登録してみればいいでしょう。
上手く変換できる例としては以下のページがありました。
逆に正常に変換できないページはこのような感じになってしまいます。
hermitage akihabara[エルミタージュ秋葉原] -the voices- アキバショップの生の声! (変換ページへのリンク)
タグが正しく変換されないのか文字が完全に詰まってしまっていて、これではちょっと読めたものではないですね。素直に元のページにアクセスした方がずっと読みやすいでしょう。ただ不思議とページの下の方は上手い具合に変換されています。
これはGoogle Readerでの表示ですが、livedoor Readerでもこのようにちゃんと表示されています。理由はよくわからないのですが、同じページ・サイトでも場合によって正常に変換されたりされなかったりします。ただ経験則として、ページの(X)HTMLソースが正しい(Validな)ほど正しく変換できるようです。
評価
- 長所
- 更新部分すべてがRSSフィードに変換できる
- 登録作業が不要
- 登録件数に制限がない
- 短所
- 変換の質にかなりムラがある
- ページのサイズが大きすぎると変換できない(*3)
- 更新部分だけではなく、ページすべてを配信してくることがある
- チェック範囲が設定できないため、テキストカウンターなどにも反応する
([*3]どうもファイルサイズをチェックしているらしく、このようなエラーが出て変換できない場合がある。)
短所の最後に書いたとおり、ページのトップにテキストカウンターなどが置いてあると、それを更新と見なして新規フィードをはき出したりします。はてなアンテナは更新範囲を設定できるのですが、Page2RSSには見あたりませんでした。更新チェックするたびにxx Hitなんてフィードを受信しても邪魔になるだけなので、この部分は何とかしてほしかったですね。
また、更新が一部分でもページ全体をフィードに含める場合もあって、この挙動もよくわかりません。上手く動作するページは文句がない「全文フィード」に変換できるのですが、場合によってははてなアンテナ以下の性能です。
どのページなら上手く動くのかはよくわからないので、とりあえず試してみるのをお勧めします。正常に変換できる場合、普通の全文配信RSSに勝るとも劣らないRSSフィードを受信することができます。ポテンシャル自体は高いと思いますね。
なんでもRSS 0.1b
- 名称
- なんでもRSS 0.1b
- 登録
- 不要
- 言語
- 日本語
- 出力フィード形式
- RSS 1.0
概要
東京工業大学の研究所で運営されているサービスです。広告なども一切見あたりませんから、サービスというより実験(研究)にあたるのではないでしょうか。(*4)ページはシンプルですし、ヘルプページも完備されています。登録作業も不要です。
([*4]Page2RSSにはちゃんとGoogleアドセンスが設置してある。)
機能
Page2RSSと同じようにトップページのフォームにページのURLを入れてボタンを押すと、そのページのHTMLを解析してRSSフィードを作成します。上記の2種類のサービスと違うのは定期的に巡回して更新差分をRSSにするのではなく、(X)HTML文章を解析して繰り返されるタイトルや日付からRSSフィードを作り出す点です。(なんでもRSSヘルプページより。)
この仕組みの優れている点は、更新されなくてもRSSフィードが作成されるところです。My RSSとPage2RSSはページが1度でも更新されない限りRSSフィードは作られません(*5)し、普通のRSSフィードと違い「今までの」記事をRSSリーダーで読むことはできません。あくまで登録後の更新部分をRSSフィードに変換できるだけです。
([*5]すでに誰かが同じページを登録しているときは別。その場合はすでに以前の変換されたRSSフィードが受信できる。)
しかし、なんでもRSSならタイトルや日付部分からRSSフィードを作成してくれるため、解析さえ成功すればページ内の古いトピックなどもRSSフィードに変換します。これは他の2種類にはない大きなアドバンテージでしょう。また、色々なページを登録してみましたが、解析能力自体もかなり高いように思えます。
以下のページは正しく変換することができました。
L-Internet Resource Center (変換RSSへのリンク)
逆に正常に解析できない場合は、フォームにURLを入れて変換しようとした時点で失敗します。
日付情報が上から順に並んでいるかどうかがキモのようですね。ただ日付が存在しても上記のエラーで弾かれる場合もあって、HTMLの構造が上から日付→内容ときちんと並んでいないと駄目なのかもしれません。変換さえ可能なら納得できるRSSフィードができる場合が多いのですが、ページによっては日付データだけの空RSSができる(*6)ことがあります。
([*6]単純な日付を見出しと誤認識してしまったと思われる。)
評価
- 長所
- ページから全文フィードが生成可能
- 過去ログもRSS化できる
- 仕組みの違いからテキストカウンターなどに反応しない
- 登録作業が不要
- 登録件数に制限がない
- 短所
- 最初の解析に失敗すると使用不可能
- 過負荷なのかページとRSSフィードに繋がりにくいことがある
個人的な印象としてはPage2RSSより解析能力が高いように思えますが、やはり向き不向きがあるようです。日付が見つけられないページではまったく使えませんし、日付があっても意外と解析できないページが多い感じです。
逆に変換さえできれば「思った通り」のRSSフィードができることが多く、過去のトピックなどもRSSフィードとして受信できます。フィードは即座にできますので、その場で登録して「どのようなRSSフィードに変換されるのか」をすぐチェックすることができます。他の2種類はページが更新してRSSフィードが配信されるまで、どんなフィードが配信されるのかわかりません。
まとめ
結局どれを使えばいいの?
ページのリンクテキストが欲しいだけならMy RSSで十分でしょう。My RSSはシンプルな分、リンクテキストはほぼ確実にRSSフィードに変換してくれます。ページによる変換の質のムラはほとんどありません。(*7)
([*7]そのページに広告がある場合は別で、ひたすら広告のリンクが作られる場合がたまにある。)
全文RSSフィードがほしいならとりあえずなんでもRSSで変換をしてみて、変換できない or 正常に変換されないならPage2RSSを使ってみるのがいいと思います。なんでもRSSは仕組み上すぐにRSSフィードが作られますし、できない場合はその場でエラーが発生するためわかりやすいのです。Page2RSSの場合はページの更新→RSSフィードの生成と手順を踏む必要があるので、その分どうしてもタイムラグが発生します。
ただページの作りによる相性があり、なんでもRSSではめちゃくちゃなRSSフィードに変換されるページでも、Page2RSSなら何の問題もなく変換できたりします。当然逆もあります。また、同じページでも更新日によってRSSフィードの質がかなり変わることも珍しくありません。(*8)
([*8]交互に正常なフィードと異常なフィードが生成されたりする。)
RSSフィード生成サービス雑感
色々なページを登録して試してみた感想は、「完璧な無料RSS変換サービスは存在しない」というものです。ページによる相性やサービスによるクセで「これだけ使えばOK」というものはありませんでした。すべてのサービスを試してみて、一番そのページに適したものを選ぶのが現在ではベターだと思います。
本当はもっと多くのサイトがRSSフィードを標準で配信してくれればいいのですが、なかなか難しいのでしょうね。
おまけ
余談ですがAKIBA PC Hotline!は非公式のRSSフィードなら存在します。興味がある方はどうぞ。
この記事へのコメント
コメント機能を利用するにはログインする必要があります。「Disqus」または「Twitter」「Google」「Facebook」などのアカウントが使用できます。