忙しさにかまけて、だいぶサボってしまっているブログを久しぶりに書いてみました^^;;。
手塚治虫先生の超大作「火の鳥」の第2巻、”未来編”は西暦3404年の物語。その時すでに地球は環境の激変により地表に住むことができなくなり、人類は地下に5つの都市(国)を作って生活している。そして、それぞれの国の元首として君臨しているのは電子頭脳(今でいう大型コンピューター)である。その電子頭脳が国の運営を全てつかさどっており人類が政治的な決断をすることはできない。
ある時、一つの国から逃れた亡命者(主人公)が現れ、他国に亡命を試みたその人物の引き渡しを巡り、それぞれの国の電子頭脳同氏が直接交渉を開始。だんだんと交渉がエスカレートし、誤動作を起こし始め最終的にはそれぞれが核戦争を宣言し、他の都市も巻き込んで、すべての人類が滅亡するというところから壮大な物語が始まる。手塚先生がこの物語の執筆を開始したのは何と1967年!今から50年以上前に、地球の行く先を予言しているこの作品は一読の価値ありだ。
さて、前置きが長くなったがAIである。昨年11月に発表され、瞬く間に世界を席巻し、あらゆる分野で物議を醸しだしているChat-GPTの出現により、上記の物語の内容がより現実味を帯びてきた事に、自分自身は非常に複雑な気持ちだ。
この先、さらに膨大なビックデータを保有するGOOGLEの”BARD”やMETAの”CIECERO”といったAIシステムが本格的に世の中で一般的になれば、この「火の鳥」の内容が更に現実味を帯びてきているところに正直、動揺が隠せない。少なくともこの先4,5年で仕事の在り方は想像以上に激変するだろうし、行政や産業自身の根幹も大きく変わっていくであろう。既に日本では国会答弁の資料や質問作成にAIを使用しているという話もチラホラ。そうなってくると、本当に近い将来、AIが国を支配することも視野に入ってしまいそうだ。
まあこのような、大きな変革のところは有識者に任せる(もちろん他人事ではないけど…)として、自分は生業でもある製造業の「ものづくり」に、AIが与えるインパクトについて少し考えてみた。というより先ずは早速CHAT-GPTに聞いてみた。そうしたらこんな答えが(以下引用):
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AIの導入により、日本のものづくりは以下のように変化する可能性があります。
- プロセスの自動化と効率化: AI技術を活用することで、生産ラインや製造プロセスの自動化と効率化が進みます。例えば、ロボットや自律型システムを使用して、繰り返し作業や危険な作業を行うことができます。これにより、生産性の向上や人的ミスの軽減が期待されます。
- 品質管理の向上: AIは画像認識やセンサーデータの分析などで使用されることがあります。製品の品質検査や不良品の検出において、AIを活用することで高い精度と効率性を実現できます。これにより、製品品質の向上や不良品の削減が期待されます。
- 製品設計の最適化: AIは機械学習や最適化アルゴリズムを活用して、製品設計の最適化を支援することができます。大量のデータやシミュレーション結果から、より効率的で信頼性の高い製品設計を行うことができます。これにより、製品の性能向上や開発期間の短縮が期待されます。
- 予測保全とメンテナンス: AIはセンサーデータや異常データを分析し、機器の故障やメンテナンスが必要な箇所を予測することができます。予測保全により、機器の故障や停止時間を最小限に抑え、生産の安定性と効率性を向上させることができます。
- 自律型システムと協働: AI技術を活用した自律型システムや協働ロボットが導入されることで、人と機械の協力関係が変化します。人間の得意な判断や創造性を活かしながら、AIとの連携によって生産プロセスが効率化され、柔軟な生産体制が構築されるでしょう。
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いやいや凄すぎ!こんな回答がものの10秒でかえってくる@@!
ただ、当然この内容は概要的なものであって、すぐに日本の中小町工場の製造分野では応用性は低いかもしれないけど、少なくとも、この内容から考えられる変革の可能性はこんな感じなのかな?と考えてみた。
1.プロセスの効率化は、切削機や板金のシステムのプログラミングを過去のデーターに基づいて、
より最適、かつ短時間で生成することで実現できるだろう。これにより工数の軽減から製品コストを
下げることが可能になるのではないか。
2.過去の不良実績やよく起こりそうな問題をAIに分析させれば品質管理技術を向上させること
が可能になる。これも品質を向上させながら歩留まりを上げることに繋がり、製品コストの軽減につ
ながるだろう。
3.製品設計の効率化については、図面に基づいて製作をすることが中心の中小町工場にとっては
直接関係は無いかもしれないが、設計された図面のデータを解析することにより、依頼され
た見積もりをより正確に瞬時に提出できる可能性は十分にある。
4.基本的に多くの工作機械を保有する町工場にとって製品の保全やメンテナンスは重要で、修正保全
費用も当然、製品に反映されるので、これをAIで解析し事前に使用年数や起こりうる問題を事前に
修繕する等の対応でき、これもコスト軽減に寄与する可能性あり。
5.製造プロセスにおける自動化やロボットの導入にはまだ時間がかかると思うが、今まで人間の
手作業や経験に基づく最終仕上げなどのプロセスは、その内容毎の詳細をAIで数値化もしくは
データベース化することにより工程を簡素化する可能性はありそうだ。これも製品コスト軽減につ
ながるだろう。
6.上記をまとめれば、単純に小人化に繋がるので人件費の大幅な削減も可能性が出てくる。
と考えてみると、基本的にAIの活用による「ものづくり」の変革は、もちろん材料費などの原料コストは別だがメインで製品コストの軽減に大きく寄与するのではないか?と考えられる。
つまり、AIを導入するか否かによって企業としての価格競争力に大きく差が出てくることが予想されるのだ。もちろん品質重視!をうたっている企業も特に日本の場合は多いわけだが、少なくとも昨今のOKUMAやDMG MORI、AMADAなどの工作機械をみれば、もうハード的な性能はどこも極限まで高度になっていて、現状はいかに精度の優れたプログラム(CADデータ)を製作できるかにかかっている感がある。この部分も上記3.のようにAIによって単純化できれば品質に差がなくなる可能性は十分だ。
また仕事を依頼する側も当然、世界中のサプライチェーンからAIによって最適な価格と品質を保証できる企業を探し出すこともできるわけで、そうなると昔からの馴染みだとか、近所にあって利便性が高いという理由での商流にも影響が出そうだ。
さてさて、これはあくまで自分の主観でまとめたものなので、きっと多くの反論や意見もあると思うけど、要はこのようなAIの知識や技術的なインパクトの大きさを会社として、しっかり理解しているか否かで、この先、企業間には大きな格差が生まれてくるだろうし、当然日本の市場にも中国やアジアを中心とした「ものづくり企業」が続々と参入してくる可能性も有るわけだ。
とにかく、対岸の火事的な感覚ではなく、隣の家が燃えているぐらいのつもりで、社内でAIに関して
今なら月々きっと日本でも3000円弱で、ある程度自由に使えるChat-GPTで何ができるか?といった勉強会などを実施してみるべきだと強く思う今日この頃である。